普段利用している生成AIにリサーチツールがリリースされた情報を得たので評価してみることにしました。
文章生成AIにおける評価方法に「人間評価」というのがあります。
要は、人間が生成された文章を読みその文章が”求めている結果であるかどうか”を判断します。
私の場合は評価題材にしているのが「大分トリニータ」です。
(トリニータ情報を正しく文書生成できれば優秀と評価)
早速、リサーチツール(生成AI)に「2025シーズン 大分トリニータ 戦績と戦略分析レポート」をお願いしてみました。(約5分程度でレポートが作成されました)
レポート結果は以下添付の通りですが、所感として「なかなか優秀」です!(≧▽≦)
長文になるので少し纏めようかと迷ったのですが、なかなか優秀なので初期レポートをそのままベタ張りにしました。
お時間の許す限りでご一読ください。
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【2025シーズン 大分トリニータ 戦績と戦略分析レポート】
概要 (Overview)
大分トリニータは、大分県を本拠地とするプロサッカークラブであり、現在明治安田生命J2リーグ(2025年シーズン)に参戦しています。クラブは2025年シーズンのスローガンに「力戦奮闘」を掲げ、J1昇格プレーオフ圏内(6位以内)を目標にスタートしました。しかしシーズン半ばを終えた現時点で、同クラブは勝ち点27の12位と中位に留まっており、目標達成には後半戦での巻き返しが必要です。本レポートでは、2025年シーズンこれまでの試合状況(戦績)およびチームの戦術・戦略を分析し、現状の強み・弱みや課題、さらなる改善の機会について考察します。
前半戦23試合を終えた時点での大分トリニータは6勝9分8敗、勝ち点27、得失点差-3で12位につけています。得点数20はリーグ全22チーム中18位と下位に位置する一方、失点23は8位タイと守備は比較的安定しています。「堅守だが攻撃力不足」というのが現状の端的な特徴であり、後述する戦術の影響もあってスコアの動きが小さい試合(例:0-0や1-1の引き分け)が目立ちます。
また、昨年2024年の同時期(23試合終了時点)と比較すると、順位は14位→12位とわずかに上昇しましたが、勝ち点28→27、総得点19→20、総失点23→23と成績面ではほぼ同水準で推移していることがわかります。すなわち、新戦力の加入や戦術の落とし込みにも関わらず、昨季と同様の課題に直面している状況です。
順位と主要データ (League Standing & Key Statistics)
2025年7月末時点(第23節終了時)のJ2リーグ順位表によれば、大分トリニータは12位で、昇格プレーオフ圏(6位以内)との差は勝ち点で約10点以上開いています。チームの成績をリーグ全体の統計面から見てみると、以下のような特徴が浮かび上がります。
得点力:
総得点20はリーグ18位タイであり、1試合平均得点は約0.87点と1点未満に留まります。23試合中8試合で無得点に終わっており、ゴール欠乏が深刻です。リーグ平均の総得点(23試合時点で約24点前後)を下回り、特に上位陣(水戸ホーリーホック36得点など)とは大きな開きがあります。
守備力:
総失点23はリーグ8位タイで、1試合平均失点は約1.0点と守備は堅調です2。無失点試合も8試合あり、これはリーグトップクラスの頻度と言えます。失点23という数字は、首位と勝ち点争いを繰り広げるチームと同等レベルであり、守備面では一定の評価ができます。
得失点差:
得点力不足と守備の安定から、得失点差は-3と小幅のマイナスに収まっています。大敗が少なく接戦が多いことが窺え、**「負けにくいが勝ちきれない」**チーム状況を反映しています。
攻撃の傾向:
Jリーグ公式やFootball LABの詳細データによれば、大分のシュート関連スタッツは軒並みリーグ最下位です。シュート数・枠内シュート数などが20位前後と低調で、そもそもチャンス自体が少ないことが課題です。一方で攻撃回数やクロスの本数はリーグ中位を記録しており、一定の攻撃は試みているもののフィニッシュに結び付いていない現状が伺えます。
戦績内訳:
6勝9分8敗という戦績の内訳を見ると、引き分けの割合が高く約39%を占めます。勝利は全体の26%、敗戦は35%程度で、勝率と敗戦率が共に3割台となっています。これは上位を狙うには物足りない数字で、引き分けをいかに勝ちに転じるかがポイントです。
以上のデータから、守備の安定性を土台に試合を大崩れさせない反面、攻撃の決定力不足で勝ち点を取りこぼしている状況が浮き彫りになります。特にゴール数の少なさは深刻で、エースストライカーの不在や攻撃戦術の工夫不足が示唆されます。この点については次章で戦術面から詳しく分析します。
戦術・スタイル分析 (Tactics and Play Style)
大分トリニータの戦術的な特徴を整理すると、「守備重視のカウンター志向」と「サイド攻撃の活用」がキーワードとなります。片野坂知宏監督の下、チームには明確な戦術コンセプトが浸透しており、対戦相手の監督からも「大分トリニータは戦術が落とし込まれたチーム」と評されるほど組織的な戦い方をしています。
基本布陣と守備戦術:
基本フォーメーションは3-4-2-1がベースで、守備時には前線の1トップ2シャドーが中盤に下がり5-4-1のブロックを形成します。前から無理にプレスをかけて奪いに行くよりも、自陣でブロックを敷いて相手の攻撃を受け止め、ボールを奪ったら速攻に転じるリアクション志向の戦術です。実際、5月のV・ファーレン長崎との試合でも大分はボール保持率を捨てて守備ブロックを固め、カウンターから得点を狙う明確な方針をとっていました。相手にボールを持たせ、自陣に引いてスペースを消す守備戦略は、今季の大分の代名詞と言えます。この守備戦術はある程度効果を発揮しており、上述の通り失点の少なさ(無失点8試合)につながっています。特に、リードを奪った試合では守備陣が粘り強く対応し、そのまま逃げ切るパターンが見られました。守備ラインにはベテラン外国籍DFのデルランやペレイラを中心に、激しいチャレンジとクリアでゴール前を死守するシーンが多く、クリア数やタックル数のデータがリーグ上位となっています。これは、相手の攻撃を受け止める展開が多い(=押し込まれる時間が長い)ことの裏返しでもありますが、守備陣の頑張りによって大崩れは防いでいる状況です。
攻撃戦術:
攻撃面ではカウンターとサイド攻撃が軸となっています。自陣で奪ったボールは、中盤の選手が素早く前線にフィードし、ウイングバックやシャドーの選手がサイドを駆け上がる形が多用されています。中央から無理に縦パスを通すよりも、両サイドに展開してクロスを上げる傾向が強く、実際にクロス本数はリーグ平均並みまで出ている一方、ドリブル突破の試みは極端に少ない(1試合平均ドリブル数リーグ19位)というデータがあります。このことから、大分の攻撃は「サイドを起点にしたクロス攻撃に依存し、個人技で中央突破するようなタイプの攻撃は少ない」スタイルであるといえます。
片野坂監督は過去の指揮でもリスク管理を重視し、中央でボールを奪われてのカウンターを避けるため攻撃はサイドからというセオリーを一貫して持っています。その傾向は現在のチームにも色濃く、中央からの崩しが少ない代わりにサイド攻撃比率が高い戦術設計です。実際、J2全体のデータでも中央攻撃の試行回数がリーグで最も少ない部類にあり、リスク回避型の攻撃スタイルであることが確認できます。これは裏を返せば、サイド攻撃に相手守備陣が対応しやすく、中で人数を欠いているため最後のフィニッシュで押し込む力が不足するという課題にもつながっています(※後述)。
トランジション:
守から攻への切り替え(トランジション)は比較的早く、ボールを奪った瞬間に縦に付ける意識は見られます。理想形は奪取直後のショートカウンターで手数をかけずゴールに迫るパターンで、実際に4月のアウェイ大宮戦では、奪ってから数本の縦パスでFW有馬幸太郎が決めたゴールが生まれました。このシーンは「奪ってからシンプルに縦に速い攻撃」の好例であり、チームが目指すカウンターアタックの一つの完成形と言えます。しかしながら、こうした速攻の形を90分間で何度も作り出すのは容易ではなく、現実には相手の守備ブロックが整った状態でサイド攻撃を繰り返す展開に陥りがちです。その際に問われるのがクロスの精度ですが、今季の大分はクロスからの得点がさほど多くなく、またデータ上もシュートまで持ち込めないケースが目立ちます。言い換えれば、攻撃のアイデアが単調で精度も不足しているため、相手に脅威を与えきれていません。
戦術の効果検証 (Effectiveness of the Strategy)
前述の戦術が試合結果にどう現れているかを考察します。結論から言えば、守備戦略は概ね奏功している一方で、攻撃戦略の効果は限定的という評価になります。
守備の効果:
5バック気味のブロックを敷くディフェンスは、多くの試合で安定した成果を上げています。無失点に抑えた試合が8つもあることからも、相手に得点を許さない粘り強さが際立っています。特に終盤リードしている局面ではその強みが発揮され、第11節磐田戦(3-0)や第12節鳥栖戦(1-0)のようにリード後は守備を固めて完封勝利という試合運びができています。また、敗れた試合でも大量失点はほとんどなく、常に接戦に持ち込めている点は評価できます。しかし、守備戦略には一つのトレードオフがあります。それは、守備重視ゆえに攻撃要員の枚数が少なくなり、ボール奪取後の攻撃で前線の人数不足に陥りやすいことです2。実際、大分はカウンターを志向しながらも、自陣でブロックを作って相手を迎え撃つ時間が長くなるため、奪った後に即座に前線に飛び出す人が足りない状況が散見されます。FWやシャドーの選手がサイドに開いて起点を作っても、肝心のゴール前に飛び込む人数が不足し、チャンスを逃すケースが多いのです。「相手ゴール前にフィニッシャーがいない」という場面がしばしば見られるのは、その典型でしょう。
攻撃の効果:
攻撃戦術については、残念ながらデータが示す通り効果不十分と言わざるを得ません。シュート数や得点数がリーグ最低レベルであることから、現在のやり方では十分な得点機会を創出できていないのは明白です。サイド攻撃・クロス主体のオフェンスは、一部の試合ではまれば得点に繋がりますが、相手に研究された際の打開策が乏しく、手詰まりになる傾向があります。例えば、同じ守備重視のスタイルを持つブラウブリッツ秋田は大分よりボール保持率もドリブル数も低いものの、得点自体は大分より多く奪えています。秋田は少ないチャンスでも中央への速攻などで効率よくゴールを決めており、大分との違いはリスクを負ってでもシュートで終わる回数にあると指摘されています。大分は攻撃においてリスクを極力排除するあまり、シュートで終わる場面すら作れずに終わるケースが多いと言えるでしょう。これでは勝利に必要な得点を積み上げるのは難しく、実際引き分けが増えている一因です。また、試合展開との関連で見ると、先制点を奪えなかった試合では苦戦が続いています。0-0が続く中でリスクを冒して攻めに出るような展開は作りにくく、結局スコアレスで終わるか、終盤にワンチャンスを決められて0-1で敗れる、といった展開です。今季の敗戦の多くは1点差敗戦であり(例:0-1や1-2)、攻撃がもう一押しできれば引き分け以上に持ち込めた試合も多かった印象です3。したがって、現在の戦術は「負けにくいが勝ちきれない」という結果を招いており、監督が意図するゲームコントロールはある程度成功しつつも、目標とする勝ち点3を積み上げるには至っていない状況です。
前シーズンとの比較 (Comparison with Previous Seasons)
大分トリニータの今季のパフォーマンスを、過去数シーズンと比較してみます。
2024年:
J2で最終16位。特に序盤戦の不振が響き、監督交代なども経て低迷しました。23試合終了時では14位・勝ち点28と今季とほぼ同水準でした。最終的にも下位に沈み、昇格争いには絡めませんでした。
2023年:
J2で最終9位。終盤までプレーオフ圏争いに絡みましたが一歩届かず。攻撃力はまずまず(最終得点55)で、5位以内の可能性もあったシーズンでした。
2022年:
J2で最終5位。昇格プレーオフに進出したものの昇格はならず。守備が安定し、勝ち点を積み上げたシーズンでした。
2021年:
J1で18位(J2降格)。この年はJ1残留に失敗し、失点が増えたことが降格の要因でした。
以上から、2022年や2023年のほうが現在のチームより上位で戦えていたことがわかります。一時はJ1昇格に迫る力を見せていたものの、2024年に成績が落ち込み、2025年も現状は中位と、近年は伸び悩みの傾向があります。特に2024年から2025年にかけては監督交代(再び片野坂体制へ)や選手補強でチーム改革を図りましたが、数字の上では劇的な改善は見られていません。むしろ「2024年と似た課題に直面している」との指摘もあり、ここから上位進出するには攻撃面のテコ入れなど抜本的な改善が不可欠といえます。ただし、昨季と比較して守備力が安定している点は明確なプラス材料です。2024年前半は失点がもう少し多く不安定でしたが、今季は守備面の構築には成功しています。この土台を生かしつつ、いかに得点力を上乗せできるかが、かつての上位争い(2022年のような)に戻る鍵となるでしょう。
現戦略の強みと弱点 (Strengths and Weaknesses of Current Strategy)
上述の分析を踏まえ、現在の大分トリニータの戦略・戦術の強みと弱点を整理します。
強み:
◎堅実な守備ブロック
5バック気味の守備組織と中盤の献身的な守備によって、失点を最小限に抑えることに成功しています。組織だった守備と切り替えの速さで相手の攻撃をいなし、無失点試合も多く作れています。
◎明確な戦術コンセプト
チーム全体に戦術の共通理解があり、「何をすべきか」がはっきりしています。他クラブの指揮官も認めるように、戦術が浸透したチームであり、選手個々の判断に迷いが少ない点は安定感につながっています。
◎カウンターの鋭さ
少ないながらも決まったパターンでの速攻には切れ味があります。奪ってから数本のパスでゴールに迫る形は、はまれば相手守備を崩す威力があります2。足の速いFWやWBを生かしたカウンターは武器です。
弱点:
◎得点力不足
最大の弱点はやはりゴール数の少なさです。攻撃パターンがワンパターンになりがちで、相手に読まれると打開できません。フィニッシュに絡むプレー(シュートやラストパス)の回数がリーグ最少レベルで、一試合に創出できる決定機が極めて少ない状況です。
◎攻撃時のリスク回避過多
攻撃において安全策を重視するあまり、リスクを冒した仕掛けが不足しています。中央を使った崩しや強引なドリブルで局面を打開するといったプレーが少なく、結果的に淡泊な攻撃に終始してしまうことがあります。「ノーリスク・サッカー」とも評されるように、攻撃の迫力に欠ける点が弱点です。
◎リードを奪えないと苦しい展開
先に失点したり膠着したりした際、戦術の性質上ギアを上げて巻き返すのが難しい傾向です。ビハインド時に攻撃的オプションが乏しく、選手交代などで流れを変えても劇的に攻撃力が上がらないため、そのまま取りこぼす試合が多くなっています。
◎セットプレーの脅威不足
データ上詳細は不明ですが、得点源としてのセットプレー(CKやFK)が目立っていません。高さのあるペレイラ等がいるものの、セットプレーで流れを変えるシーンが少なく、総得点を増やす一手として弱いと考えられます。
評論家・解説者の視点 (Insights from Analysts and Media)
地元メディアやサッカー解説者からも、大分トリニータの現在の戦いぶりについて様々な指摘や分析が出ています。その中から主なものをいくつか紹介します。得点力不足への指摘:大分トリニータを詳しく分析するブロガーの一人は、前半戦の成績を総括した上で「とりわけ得点力不足に陥っている」と述べています。シュート関連の主要スタッツが軒並みリーグ最下位であり、30mライン侵入回数やペナルティエリア進入回数も下位に低迷している点をデータで示し、攻撃面の深刻さを強調しています。さらに近年の特徴だったはずのボール保持率も今年はリーグ最下層で、攻撃回数自体が少ないと指摘しています。
「ノーリスクサッカー」:
同じ分析の中では、現在の大分のサッカーをデータから読み取ると「ノーリスクサッカー」と言えるとも評されています。リスクを極力排除した戦い方のため、失点は少ないが得点も奪えないという状況を端的に表現したものです。解説者は「攻撃は何かしらリスクを背負わなければならないし、現代サッカーでは配置だけで刺せる時代ではなくなっている」と述べ、リスクを取った攻撃の必要性を説いています。クロス偏重と中央攻撃の不足:戦術面については、「近年のアイデンティティだったボール保持率も低く、攻撃はサイドからのクロスに徹底しているが精度は高くない」と分析されています。ドリブル数が非常に少ないことや中央からの攻撃回数が極端に少ないことも取り上げられ、攻撃パターンの偏りがゴール数減少の要因と示唆しています。この指摘は前述の戦術分析とも合致しており、現場外から見ても大分の攻撃は単調で工夫が足りないように映っているようです。
守備戦術の評価:
一方で、千葉の小林慶行監督が「大分は戦術が落とし込まれたチーム」とコメントしたように、その組織的な守備と戦術理解度の高さには一定の評価があります。実際、解説記事でも「失点数が試合数と同じ23で、守備には一定の評価が与えられる」と記されており、堅実な戦いぶり自体はポジティブに見られています。ただし同時に「攻撃は1試合平均得点が0点台という大きな課題がある」と続けられており、やはり攻撃面の改善なしには上位進出は難しいという論調が一般的です。
昨季との比較評価:
ある分析では、「2024シーズンの23試合終了時点とほぼ同じ成績で、見えやすい数字では昨年とほぼ同じ」という指摘もあります。監督交代や補強を経ても尚、現状維持に留まっているという辛口の評価であり、サポーターやメディアの間でも「物足りなさ」が語られる状況です。
以上のように、専門家・解説者からは守備面の組織力を評価しつつも、攻撃面での発想転換やリスクテイクを求める声が多く聞かれます。これらの視点は、チーム内でも共有されている可能性が高く、後半戦に向けて戦術修正が加えられるか注目されます。
チーム編成の変化と影響 (Team Composition Changes in 2025)
2025年シーズン開幕にあたり、大分トリニータは戦力面でいくつか重要な変化がありました。新体制・新戦力がチームにもたらした影響をまとめます。
監督の再任:
2024年途中からチームを指揮する片野坂知宏監督は、実は2016〜2021年にも大分を率いた経験があり、2025年は「片野坂体制2年目(通算では復帰後1.5年目)」にあたります。クラブOBでもある片野坂監督の復帰により、再び彼の志向する戦術(守備組織とカウンター重視)が植え付けられました。新監督というより“古巣の戦術への回帰”であり、多くの選手にとっては戦術理解が進めやすかった面があります。選手の加入・退団:オフシーズンには大型補強と呼べる動きがいくつかありました。FWでは、いわきFCから有馬幸太郎が加入し、さらに新人ストライカーとして大学から有働夢叶も獲得6。MFには元日本代表のベテラン清武弘嗣がC大阪から電撃復帰し、経験と創造性の面で期待されました。他にもMF天笠泰輝(群馬から)、MF榊原彗悟(横浜FMから)、DF戸根一誓(鹿児島から)、DF宮川歩己(大卒新人)など計9名の新戦力を迎えています。一方でFW渡邉新太、FW長沢駿といった前線の主力が移籍・退団し、ベテランMF梅崎司は引退するなど、12名がチームを去りました。補強ポイントは明確で、「近年の課題である得点力不足を解消するための前線強化」と「守備の立て直し」でした。
新戦力の活躍:
今季ここまでで最も出場機会を得ている新加入選手はFW有馬幸太郎です。期待通り彼は前線の軸として起用され、第23節までにチームトップの5得点を記録しています。有馬はポストプレーや守備での献身もできる「万能型ストライカー」と評されており、攻撃陣における存在感は大きいです。しかし「有馬一人だけで劇的に攻撃力が上がるわけではない」と指摘されていた通り、彼にボールが収まっても周囲のサポートが十分でない場面も多く、得点力不足を単独で解消するには至っていません。
清武弘嗣の加入:
大きな話題となった清武の電撃復帰ですが、シーズン序盤に負傷離脱した影響もあり、ここまで出場は僅か4試合にとどまっています。清武はチームキャプテンにも任命されましたが、彼の豊富な経験や創造性をピッチ上で発揮する機会が少なく、現時点では戦力として計算外に近い状況です。この想定外の戦力ダウンも、攻撃が活性化しない一因かもしれません。清武が後半戦でコンディションを上げ、ゲームメイクやセットプレーで違いを生み出せれば、攻撃面の起爆剤となり得るでしょう。
守備陣の再編:
守備面では、昨季主力だったDF安藤智哉が移籍し不安もありましたが、DF藤原優大(レンタル延長)やDF戸根一誓の加入で穴埋めが図られました。加えてブラジル人DFデルランとペレイラの両名が残留したことでディフェンスラインの骨格は維持。新戦力の融合もうまく進み、結果的に失点数減少という形で効果が出ています。また7月には元日本代表DF三竿雄斗を獲得しており、守備のさらなる強化も模索されています。
シーズン途中の補強:
攻撃強化策として、FWグレイソン(ブラジル人ストライカー)を6月末に完全移籍で獲得しました。グレイソンは昨季まで岡山でプレーし実績のある大型FWで、「モチベーションが高まっている」と意気込みを見せています。この補強は、得点力不足を受けてのテコ入れと考えられ、7月以降の試合で徐々に出場しています。まだ合流から日が浅いため目立った結果は出ていませんが、後半戦に向けて新たな得点源として期待されています。こうした人事面の動きを総合すると、戦力的には昨季より充実していると言えます。特に若手主体で大胆な補強を行った点は評価されており、「近年の中ではかなり良い補強」との声もありました。クラブの強化部門は大刷新され(2024年末に西山GM退任、吉岡SD体制に変更)、将来を見据えた選手集めとチーム刷新に取り組んでいます。あとは新戦力を戦術にどう活かし切るかが鍵であり、ここまで最大限に力を引き出せていない攻撃陣を後半戦で束ね上げられるか、片野坂監督の手腕が問われます。
リーグ内での比較 (Comparison with Other Teams)
大分トリニータの戦い方や成績をリーグ内の他チームと比較すると、その特徴がより鮮明になります。
順位・勝ち点面:
現在首位の水戸ホーリーホック(勝ち点48)や上位の千葉・仙台(勝ち点41)は、23試合時点で大分に勝ち点で14~11差を付けています。上位チームはいずれも勝ち試合の数が多く、引き分けが少ないことが特徴です。例えば首位水戸は14勝6分3敗と勝利数が突出しています。これに対し大分は引き分けが多いため勝ち点の伸びが鈍化しています。同じように引き分けが多い中位チームとして藤枝MYFCやいわきFCが挙げられますが、彼らもやはり勝ち点が伸び悩み中~下位に沈んでいます。つまり、「引き分け症状」は大分のみならず中位以下のチームに共通する課題であり、接戦をモノにできるか否かが順位を大きく左右しているのです。得失点パターン:得点が少なく失点も少ない大分に対し、例えば8位長崎は得点39・失点35と打ち合い上等のハイスコア傾向です。攻撃スタイルが対照的で、長崎は攻撃力で勝ち星を拾う反面、守備に課題を抱えています。一方、5位大宮や6位徳島は得点32前後・失点21前後と攻守にバランスが取れています。大分は守備偏重であるがゆえに総得点でこれらチームに大きく見劣りし、その差が勝ち点差に繋がっていると言えます。J2では概ね「得点力の高いチームが上位」という傾向が強く(上位陣の総得点はいずれも30点以上)、大分のように20点しか取れていないチームが昇格争いするのは難しいのが現実です。
戦術の比較:
リーグ内には様々な戦術スタイルのチームがあります。たとえば、前述のブラウブリッツ秋田は大分同様に守備重視・ロングカウンター主体ですが、大分よりシンプルかつリスクを取った速攻で意外性のある攻撃を繰り出しています。逆にジェフ千葉やベガルタ仙台はある程度ボールを保持して主導権を握りながら試合を進めるスタイルです。大分はそうしたポゼッション志向の相手に対しては健闘しやすい一方、秋田のように似た戦術同士でぶつかると攻撃力の差が出る傾向があります(実際、秋田にはホームで1-2と敗戦)。また、今季J2では昇格組のFC今治や富山など、守備組織を重視しカウンターを狙うチームが複数存在します。大分はこうしたチームとの対戦では互いに守備的となりがちで引き分けが多く(今治とは1-1のドロー)、「受け身vs受け身」の対決では打開策に欠ける面が露呈しています。プレースタイル指標:
Football LABの「チームスタイル指標」を見ると、大分のプレースタイルは「ショートパス」「ポゼッション」などの指標が低く、一方で「クロス」「クリア」「被シュートブロック」の指標が高めであることがわかります。これは他の守備型チーム(秋田や栃木など)と似た傾向です。しかし、大分の場合は同じ守備型でも攻撃面の数値がさらに低いのが特徴で、例えば秋田よりシュート数・得点ともに劣っています。リーグ平均的なチーム(例えば大宮や徳島)と比べると、攻撃性で大きな差があり、ここを埋めない限り上位陣との比較では見劣りしてしまいます。
総じて、大分トリニータはリーグの中でも特に守備に重心を置いた戦い方をしており、その見返りとして攻撃力が不足している状態と言えます。他チームと比べても極端なスタイルであるため、このままスタイルを貫くのか、あるいはバランス改善に舵を切るのかが後半戦の注目点となります。
課題と今後への展望 (Challenges and Future Outlook)
2025年シーズン後半戦に向けて、大分トリニータが直面する課題と、そこから見える展望について述べます。
主要課題:
攻撃力の向上 – 繰り返しになりますが、最大の課題は得点力をいかに高めるかです。前半戦20得点というペースではシーズン通しても40点に届かず、昇格争いには参加できません。具体的には、以下の点が課題として挙げられます。
フィニッシュ精度:
シュートまで持ち込めても決定力が低い場面が散見されます。FWやMFの選手にはシュート練習やメンタルトレーニングを通じて、数少ないチャンスを確実に決め切る力を養う必要があります。
攻撃パターンの多様化:
サイド攻撃一辺倒では相手に読まれています。ときには中央突破を狙ったり、ミドルシュートを打ったりと、攻撃に変化をつける工夫が求められます。データが示す中央攻撃の少なさを改善し、相手守備網に新たな課題を突きつけたいところです。
リスクを冒す勇気: 現在の「安全第一」の戦い方に一石を投じ、多少のカウンターリスクを負ってでも攻撃に人数をかける決断が必要かもしれません。特に同点で迎える終盤など、勝ち点3を狙う場面では、DFを1枚削ってFWを増やすなどの大胆策も検討に値します。
その他の課題:
新戦力のフィット:
グレイソンをはじめとする途中加入の選手の戦術理解を加速させ、チームに組み込むことも急務です。グレイソンは高さと決定力が期待できるFWだけに、クロスの精度を上げて彼をターゲットにする戦術オプションを磨くなど、せっかくの新戦力を活かす工夫が必要です。
怪我人の復帰:
清武弘嗣や他の離脱者が後半戦で復帰できれば、戦力アップになります。特に清武はゲームを落ち着かせラストパスを供給できる貴重な存在なので、彼が戻れば攻撃に厚みを持たせられるでしょう。
メンタル面:
引き分けや惜敗が続くと士気の維持が課題となります。幸い片野坂監督はモチベーターとしての側面も持ち合わせており、ファン感謝デーなどでサポーターから「引き続き応援を」と励ましを受けたこともプラス材料です。チーム一丸となって「ここから巻き返す」という強い意志を醸成する必要があります。
後半戦の展望:
後半戦、残り15試合で勝ち点を積み上げ、6位以内を射程に捉えるためには攻撃面の劇的な改善が必要です。その鍵を握るのは、新旧エースの二人、すなわち有馬幸太郎とグレイソンでしょう。彼ら2トップ級のFWを同時起用するオプションも含め、さらに攻撃的な布陣を試す可能性もあります。片野坂監督が掲げる「シームレス」(攻守の切替の滑らかさ)というテーマに則りつつも、よりゴールに直結するプレーを増やす戦術転換が期待されます。もっとも、守備の堅さはチームのアイデンティティですから、これを崩してしまっては元も子もありません。理想は守備の安定感を維持したまま、攻撃時にもう一枚前に出る勇気を持つことです。例えば試合の状況に応じてフォーメーションを可変させ、リード時は5バック、追う展開では4バックに変更してFWを増やすといった柔軟な対応も後半戦には求められるでしょう。幸い、夏場にはホームゲームが続き、下位チームとの対戦も控えています。8月には富山、甲府、いわき、磐田と対戦予定で、ここで連勝できれば一気に上位進出のチャンスが巡ってきます。特にホームでの富山戦・磐田戦あたりは確実に勝ち、勢いをつけたいところです。仮にそこでつまづくようだと、残念ながら昇格争いからは後退し、残留安全圏確保が現実的な目標となってしまいます。
結論と提言 (Conclusion & Recommendations)
2025年前半戦の大分トリニータは、堅守と攻撃力不足という明確なコントラストを示しました。現状12位はチームやサポーターが望む位置ではなく、目標のJ1昇格プレーオフ圏に届くには後半戦での飛躍が必要です。そのために、以下の提言をもって結論とします。
攻撃戦術の修正:
「ノーリスク」から一歩踏み出し、リスクを取った攻撃への転換を図るべきです。【例】中盤の選手が思い切って前線に飛び出す形を増やし、ゴール前に人数をかけて押し込む。サイド攻撃に固執せず、中央突破の形やミドルシュートでの崩しも意識して、攻撃パターンを増やす。新戦力の最大化: 新加入のFWグレイソンを含めた前線のテコ入れをさらに推進します。グレイソンの高さを活かすクロスの質向上や、有馬との2トップ併用による得点力の底上げを試みるべきです。場合によってはフォーメーションを4-4-2や3-5-2に変えてでも、点取り屋を増やす工夫が必要でしょう。
セットプレーの強化:
限られたチャンスから得点を奪うために、セットプレーに磨きをかけることも重要です。キッカーを務める選手(清武や野村直輝等)がしっかり精度を高め、CK・FKから得点を狙える形を増やします。守備的な試合展開でもセットプレー一発で勝つシナリオを描ければ、引き分けを勝利に変えることができます。
メンタルとチームワーク:
「力戦奮闘」のスローガン通り、苦しい状況でも全員がハードワークを続ける姿勢を貫くこと。幸いサポーターからの支援は厚く、7月末のファン感謝イベントには約千人が集まり選手を激励しました。この声援を力に変え、勝利への執念をピッチ上で体現することが求められます。
守備の維持:
攻撃強化とはいえ、今の強みである守備の連携と集中力は絶対に維持すべきです。試合終盤の失点で勝ち点を逃すことがないよう、リードした試合は確実に締めくくるマネジメントを続けます。一方で、失点が増えるリスクを伴う戦い方に移行する際は、試合状況に応じた柔軟な戦術変更でカバーします(例えば守備的MFを投入してブロック構築するなど)。
最後に、大分トリニータは潜在力を秘めたチームであり、若手とベテランが融合すれば十分巻き返しは可能です。かつてJ1で躍進した2019年のように、「堅守速攻」にもう一度磨きをかけつつ、時代に即した攻撃的なエッセンスを加えることができれば、後半戦の台風の目となる可能性も残っています。監督・選手・スタッフ・サポーターが一丸となり、ぜひ残り試合での得点力向上と勝ち点積み上げに期待したいと思います。そしてその先には、悲願のJ1昇格という大きな目標が見据えられています。戦いはこれから後半戦、本番です。力戦奮闘での健闘を願って、本レポートを締めくくります。